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★☆80年代お気に入りソングの巻☆★

ミュージックライフ83年1月号に、『ミュージシャンの好きな曲ベスト10』と題した企画があり、総勢23人の自筆回答が載っていた。クイーンからはフレディ以外の3人が名を連ねている。相変わらずの特徴ある筆跡ながら、暇が有り余っていたのか、かなり丁寧に応えているジョンの回答は下記の通り。

John's favorite tunes in early 80s (好きな順じゃないけど、この順番で聴いてたっけ)

あなたのお気に入り10曲

1.オールライト・ナウ
(フリー:シングル・バージョン)
2.マイ・イマジネイション
(テンプテイションズ)
3.永遠の人に捧げる歌
(コモドアーズ)
4.アリスン
(エルヴィス・コステロ)
5.孤独のメッセージ
(ポリス)
6.ユー・シー・ア・チャンス
(スティーブ・ウィンウッド)
7.スーパーフリーク
(リック・ジェイムス)
8.愛の残り火
(ヒューマン・リーグ)
9.ルック・オブ・ラブ
(ABC)
10.グルーブ
(レイ・パーカーJr.)

←ミドルネーム付の気合の入ったサイン

この記事を初めて見た当時(99年夏)、私が知ってる曲といえばフリーの「オール・ライト・ナウ」だけだった(シングルバージョンかどうかは分からない)。ジョンを分析しようかというのにこれでは余りに情けない。とりあえず全曲買い集め、彼の言う通り順番にMDに録音して聴いてみることにしたのだが、今ではシングルなんて見つけられないので、該当する曲が入っているアルバムを探すのに時間がかかり、なんだかんだで一年かかった。ここまでくると単なる阿呆…いや、意地である。

彼の回答で特徴的なのは、半数以上が回答当時に流行っていた曲であるということ。ブライアンやロジャー、更には他のミュージシャンが、ビートルズやジミヘンなど、自分が若い頃に影響を受けた古い曲を挙げているのとは好対照だった。おそらく今仮にジョンに同じ質問をしたら、ほとんどの曲が選から洩れてしまうんじゃないかと思うが(たぶんこんなものを書いてたことすら忘れてそうだ)、いつでも時代の流行に敏感で、どんなジャンルでもとりあえずは興味深く聴くことができたってのは、すごいことではないだろうか。またしても惚れ直す材料が増えた。

それぞれの曲の(ほとんど役に立たない)解説
WE WILL ROCK YOU - DINO CD 26 ALL RIGHT NOW - Free[1970]
(Bob Clearmountain Remix)
結局これがシングルver.かどうかは不明。(お持ちの方、ご連絡下さい!)フリーが89年のロック・エイド・アルメニアで地味に歌っていたポール・ロジャースのバンドだったと知ったのはずいぶん後のことである。この曲を挙げているミュージシャンは多い。気が付けば口ずさんでいるサビが効いているのかもしれない。
CLASSIC : The Temptations - MOTOWN 157 519-2 JUST MY IMAGINATION - Temptations[1971]
このまったりしたサウンドは少年期からのお気に入りかと思いきや、71年といえばクイーンに加入した年である。ハードロックバンド(あくまで当時)に身を置きつつもこういう曲が気に入っていたあたりがいかにもジョンだ。テンプテイションズというと、映画の主題歌でも使われた「マイ・ガール」をよく耳にする。
THE BEST OF The Commodores - MOTOWN 314 542 096-2 THREE TIMES A LADY - Commodores[1978]
同じくモータウンサウンド全開のラブソング。雰囲気満点である。ボーカルはライオネル・リッチー。このバンドにいたのを初めて知った。「You're once, twice, three times a lady」…どう訳せばサマになるのだろう。君は人の3倍もレディーだから愛してるといいたいのか。ジョンの好きそうな歌詞だ。
THE VERY BEST OF Elvis Costello AND THE ATTRACTIONS 1977-86 - DEMON RECORDS DPAM13 ALISON - Elvis Costello[1977]
ジョンは彼がことのほかお気に入りのようで、89年に出たその名も「ヴェロニカ」という曲も後に臆面もなくフェイバリットにあげている。関西の某漫才師のような風貌と拗ねたチンピラのような歌声は非常にイケてないと思ったのに、意外と癖になる。ベースの踊り方がジョン風味。最近では格調高そうなバラードを唄う渋い男と化しているようだ。
THE VERY BEST OF STING AND THE POLICE A & M RECORDS 540 428 2 MESSAGE IN A BOTTLE - Police[1979]
スティングなんてポッと出の新人さ、とでも言いたげな皮肉っぽいコメントがあったと思ったらちゃっかりお気に入りに挙げているあたりが笑えるが、良いものには素直に良いといえる懐の深さを評価しよう。 スティングは泣きのツボをきっちり押さえた曲がうまい。この曲は泣ける訳ではないがベースが自己主張している。
ARC OF A DIVER - ISLAND RECORDS PHCR-4824 WHILE YOU SEE A CHANCE - Steve Winwood[1980]
(ジョンはIF YOU…と書いてるが実際はWHILE)クイーンよりも芸歴が長い人であるが、あいにく過去まで調べるに至っていない。そしてこの10曲の中で購入時期が早くて何度も聴いたにも関わらず、どうも印象に残らない曲だ。アメリカで7位、イギリスで45位だったそうな。
THE BEST OF Rick James - MOTOWN 012 153 740-2 SUPERFREAK - Rick James[1981]
それほど似てないが、「道連れ」やChicの「Good Times」を彷彿させるベースのリフがぶいぶいと先導している。リックさん、表紙は普通(?)だが、中ジャケではフレディ風の矢印スーツを着てたりオネエちゃんの脚を舐めてたり、只モノではなさそうな人である。色気のある歌声が特徴だ。
THE HUMAN LEAGUE GREATEST HITS - VJCP-25194 DON'T YOU WANT ME - Human League[1981]
(ジョンは語尾に「BABY」を付けてるがそれは歌のサビだけ)イギリスでは81年の夏に1位に、アメリカでは82年夏に3週連続トップになった当時のヒット曲。一発屋ではなくて今でも活動しているようだが、CD店の扱いは寂しい。名前はよく聞くのに現物がなかなか見つからずに一番苦労した。歌える曲だけど、それだけ。
THE BEST OF ABC - MERCURY 314 542 459-2 THE LOOK OF LOVE - ABC[1982]
これも当時のヒット曲。彼らも未だに現役らしい。歌い方(裏声の感じ)がボウイに似ていた。余談だが彼らの背広は丁度この時期に父が仕立てたものと同じ生地だ。喜んで着ていたのに、ある日TVを見たらレッツゴー3匹も同じのを着ていてショックを受けていた。それっきり二度と着なかった(ほんとに余談だ)。ナルシズム溢れる感じがしつこくていかにも80年代。
Ray Parker JR. THE HERITAGE COLLECTION - ARISTA 07822-14636-2 FOR THOSE WHO LIKE TO GROOVE - Ray Parker JR.[1980]
Superfreak同様、「道連れ」とどっちが先なんだ?と勘ぐりたくなる曲。もしかしてジョンもそう思ったから入れたのか? 歌がない分、これでもかと繰り返されるリフが耳について離れない。この人があの「ゴーストバスターズ」を歌っていたとは知らなかった。

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