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どっちが好み?

Written by 砂丘。さん

「はぁ?ミドル級のジムに行ったって?」
何の事やら、さっぱり。それはそうだろう。何もこんなところから始める必要はない。では、話の発端から見てみることにしよう。

「じゃ、お先に」
ブライアン(頭がボンバった長身で最高のギタリスト)は、スタジオの個室に集まって曲を録っていた他のメンバーに別れを告げた。
「俺もそろそろ帰るぜ、愛しのベイビーが寒空のなか待っいてるからな」
ロジャー(金髪の青い大きな目が丸い童顔にくっつき、眉間の皺が目立つ割れ顎のドラムス)はブライアンが出て行って五分もしないうちに帰ろうとした。
「"愛しいベイビー"って何なの?」
ジョン(茶色い髪の中で小さい核融合が起きた様なアフロで、西欧人にしては薄い顔のベーシスト)がロジャーに首を傾げつつ聞いた。
「そりゃー決ってんだろ!?俺の愛車さ!」
「ふ…ふ〜ん(笑)」
「あ゛っ笑っただろ!今!!」
「ごっ…ごめ…ん…(まだ笑ってるどうやらツボにハマったらしい)」
「フン!今日は許してやらぁ!良いリフ出来たしなぁ〜♪」
ニヤリとしてロジャーは荷物を抱えた。
「バイバイ!ロジャー(フレディ&ジョン)」
「おぅ!じゃあな二人供」
ロジャーは帰ろうとした時から十分たってから愛車に乗って帰って行きました。

「ねぇフレディ、ここわかんないんだけど」
楽譜の一部分を指差しながらジョンはフレディ(このバンド、"QUEEN"のボーカルで、美声の持ち主。ピアノは自己流だがそれが良い。髭がダンディ〜)に聞いた。
「あぁ、ここはね…ちょっとベースいいかな…」
ジョンからベースを受け取り、指で弦を鳴らす。ボーン♪(高めのベース音が響く)
「そうか、ありがとう」
「いやいや、礼にもおよばないよダーリンv」
「v(ハートマーク)付けてるとセクハラで訴えられちゃうよ…?」
「あ、そーなの?」
「よくわかんないけどね」

「それよりもさ、ジョン…」
フレディがモジモジしながら、ジョンの目を上目使いで見つつ、
「ジムと僕どっちが好き?」
もごもごしまがら、言ったのでジョンには
「はぁ?ミドル級のジムに行ったって?」
こうなった訳です。

しかしながらフレディにはとても重要な事で、もう一度はっきり言うしかありませんでした。
「そうじゃないんだ!ジョン…その…、ジムと僕、どっちが好きか!って…」
フレディの顔は完熟しすぎたトマトみたいに真っ赤になりました。
「そうだね…、うん、フレディ、君さ」
フレディの赤い部分は顔から伝って耳や首にいき本当に真っ赤っ赤になりました。
「本当…?」
フレディは嬉しそうに(しかし恥ずかしそうに)聞き直しました。
「うん。だって君との付き合いの方が多い分色々、苦しい事も楽しい事も乗り越えてきたじゃないか。」
「…?」
「だからね…、ジムとはまだ知り合ったばかりだし、君との方が打ち解けられるからね」

「え――――――――っそれだけの理由で僕の方が勝るって言うのぉ!?そんなのないよダーリン!」
「怒らないでよ(汗)僕なりに分析したんだからさ〜」
おたおたしつつジョンは弁解し、フレディをなだめて帰る支度をし始めた。
「ねぇ、飲みに行かない?」
フレディを元気付かせようと、ジョンは誘った。
「うん、じゃあ僕が奢るよ」
「え…悪いよ〜」
「大丈夫さ☆金は使うためにあるんだからね♪(言ってみたいな)」
ウィンクしつつハハっと楽しそうにフレディは笑った。
「そ…そう?」
「うん、そうさダーリン」
しかっとジョンの肩を抱くとルンルン気分でスタジオを後にし、リムジンを呼び、走らせた。

「ねぇ、どこに行くの?(ワクワクしている)」
「(うぅ…可愛いなぁ)僕の家さ、ダーリン」
「…?…どーゆーこと?確かに安あがりかもしれないけれど…(女の子はいないのか、ガックシ)」
「ジムが作るのさ、肴作りが速いし美味いよ」
「そっか、じゃあジムともう少し世間話してみよっと♪」

フレディの家(ガーデンロッジ)。
「やあ、こんばんは、いらっしゃいジョン」
「こんばんは!ジム、君の作る肴が最高だって彼から聞いたよ」
握手しつつジョンはハツラツと言った。
「…こらこら、ジョン、僕の方を指すなって」
少し赤くなりつつフレディは、ジョンの指を揃えた左手を自分に向ける仕草がジムのからかいの格好の材料にならないように願った。
「そうかい?嬉しいね!さて、何食べたい?」
「塩ピーナッツ!」
「…ダーリン…。」
「キャビア開けるかい?フレディ」
「ああ、頼むよ」
「あと、ビールお願いできるかなジム?」
「ジョンはビールが好きなのかい?遠慮しないでいいよ。ブランデー・ワイン・日本酒…」
「いいじゃないかジム、彼の好きなようにやらせてあげよう。」
「ジョンってお金もらってるんじゃないかなぁ…?」
一人悩むジム。気を取り直して、
「チーズは?上等なカマンベールがあるんだ」
「チーズは大好物だよv」

ニコニコしながらビールをぐいっと飲む。もう鼻が赤い。それはそうだろう。さっきからジョッキ4杯目だ。
「ロジャーが来たら手当たり次第高そうな物開けそうだね〜」
「かもね」
「ブライアンが来てたら古いワインボトル見てウンチク語りそうだね。『むむっこれは1960年代のボルドー産のしかも!ビンテージじゃないかっ!』ってな具合で、ウック…」
「出来上がってるよ?まだ夜は長いのさダーリン、さージムも飲め飲め!」
「じゃ、お言葉に甘えて…」

リビングのソファーにジムも座り、飲み始め、ちょっと緊張が溶けて、ジョンと話始めた。
「で…あのハーブの育て方のコツは…」
「あの木は何ていう名前なの?」
二人の会話を右耳から左耳へ、左耳から右耳へと流しつつ聞いていたフレディはふと花瓶に入った花に目を留めた。
その花は黄色いフリージアだった。
フレディは立ち上がり、そーっと一輪のフリージアを花瓶から抜き取り、片手に携えた。

フレディが戻ると、ジムもジョンも泥酔し合ってソファーに深々と沈み込み、寄り添って眠りこけていた。
フレディは片耳にフリージアを差し、二人の元へと歩み寄り、フッと微笑んで、さっき座っていた所で腰を降ろしました。
煙草を取りだし吹かしました。スヤスヤ眠る二人を愛でるように見つめ、彼等の赤く熱った顔は色っぽかった。
「―うーんだめだよ…あ〜壊しちゃった…」
「フレディ〜vジョンを僕から取らないで…」
「…!?」

二人の見ている夢の差に笑いを堪えながら、フレディは自分の体に潜む魔物に語り掛けた。
「今はこんなに幸せなんだ。だから今は僕を苦しめないでくれ」
煙草を皿に(しかもキャビアがまだ残って乗っていた)揉み消し、じっと二人を見つめてから毛布を掛けてあげた。
(ニャー)ディライラがフレディの足に擦り寄って来た。
ソッと二人の頬にキスをし、ディライラを抱き上げた。

翌朝ジョンは少し二日酔いのせいで痛い頭を起こし、ここは何処だろうと辺りを見回した。(ああ、フレディの家に来てたんだっけ…)ジムも起きて、まだ寝惚け眼でニコリと微笑み合う。
「おはよう、ダーリン達」
「おふぁよ〜んうわわ…フレディっいやー昨日は悪かったね。もっと付き合えば良かったかな〜?」
あくび混じりにジョン
「あれー早いね。今朝何食べる?」
こっちはジム
「チーズトーストと、紅茶。できれば目玉焼きも欲しいな」
「そうかい?ジョン。じゃあ作ってくるよ。」
キッチンに行きがてらフレディの左肩に右腕を置き、クスクス笑いながらジムは「ジョンって可愛くっていい人だね」と彼の耳元に囁き行ってしまった。

「フレディ何かあったの?」
いつも以上に寝癖で爆発した髪を指で撫で付けつつジョンはトンでもなく変な顔したフレディに聞いた。
「い…っ、いやっ…」
明らかに声が裏返ってる。
「んー、ま〜いいや♪」
ジムが朝食を運んで来た。目玉焼きに美味しそうにかぶり付くジョン(口の周りに卵が付いている)。フレディはそれだけでお腹がいっぱいになった。
「じゃあね。ごちそうさま」
ジョン(卵はもう取ってあった)はフレディの呼んだタクシーの窓越しに呼び掛けた。
「じゃあね」
「ジョン、僕君の事好きになったよ(ノーマル?)また来てね」
「ジム、僕もだよ(ノンアブノーマル)。」
「……」
見つめ合って微笑む二人をフレディは嫉妬の目で見つつ、ジョンに手を振った。
「又スタジオでねジョン」
「うん」
走り去るジョンの乗ったタクシーに消え去ってしまってもフレディは手を振ってました。

― おわり ―

※楽屋裏※
J:ねー何で塩ピーナッツがいけないの〜?
F:だって、僕お金持ちだから(意味不明)
J:僕の好きにさせてね(じっとフレディの目を見つめる)
F:(少したじろぐ)う…うんvvv
R:おいおい、お二人さん、俺も連れてってくれりゃ〜いいのにぃ…!チッ!酒飲みてーっ!!!
B:まあまあ…。僕らは先に帰っちゃったからしかたないよ。ジョン、今夜飲みに行かない?
J:ビールと塩ピーナッツある?
B:じゃあ、オープンカフェで飲むかな…。ビールぐらい置いてあるだろうし…。
J:じゃあ僕おごるよ。
R:俺もついてく!ついてくったらついてくんだ〜!!酒っ酒っ…!
F:…大丈夫かい?奥さんに何か言われたの?
R:う…っ!うるせいやい!(酒の飲み過ぎで太ったことを言われたなんて言えない)
チャンチャン♪

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