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夏の訪問者

Written by la chatさん

ハーイ、久し振りだね、ハニー!調子はどうだい?えーっと、日本語だと・・・イカガデスカー?って言うんだっけ。
「日本の夏」と言えば、盂蘭盆だろう。だから、ちょっとこの世を覘きに来たんだよ。やっぱり日本はいいね、帰還する魂を敬ってくれるんだから。
お!気が利くねぇ、ハイネケンじゃないか!サンキュー、ぐびぐびぐび・・・・・・ぷはーっ。
いや、ここへ来る前に、ブライとロジャーのところにも行って見たんだよ。だって、このところしょっちゅう、レスペの音が天上まで聴こえて来るんだ。Tie Your Mother Downのイントロが聴こえて来た時は、思わず歌い出しちゃったよ。
面白いもんだね、だって、もうすぐ年金が貰えるようになろうっていうのに、バリバリ働いてるんだからさ。二人とも、じっとしていられないタイプなんだな、きっと。
今はサマー・ホリディだけど、秋には日本にも来るんだろう?うーん、生憎僕は、ここには来られないな。ジャパン・ツアーをお彼岸に合わせてくれれば、何とかなったかもしれないのに・・・。

あぁ、そうだったね、君はジョンのことが知りたいんだろう?行って来たよ、L.A.にも。
もう、腹立たしいくらい、のんびり過ごしてたね。え?子供の面倒?ノー、ノー、もうみんな大きくなって、もう親の世話なんて必要としてないね。下の2人でさえ、サッカーのサマー・キャンプに行っちゃったらしいよ。
僕が見に行った時、ジョンはビーチで犬と遊んでたよ。すごいね、アメリカ人の考えることは。ボートやボディ・ボードなんかを貸し出すのは判るけど、犬まで貸してくれるんだよ。彼はゴールデン・レトリバーを借りてた。どうも、ふさふさの毛が懐かしかったみたいだな。毛については僕も人のこと言えないけど、僕は猫派だからね、犬に慰めを求めたりなんかしないよ。
で、その犬が一緒に遊ぼう、って走り出すんだけど、ジョンはすぐに息切れしちゃうんだよ。きっと、タバコの吸いすぎだな。今時、セレブリティでタバコ吸ってるのは、ジョンくらいのものだね。
もっとも、セレブリティ扱いが嫌で、ジョンはあっちこっちウロついてるみたいだけど、L.A.辺りじゃ、「普通のおじさん化」に充分成功しているように見えるよ。
それにしても、“○○○○・ウルトラ・ライト”とか言う、紙くずみたいなタバコなんか、吸ったってしょうがないよ。早くやめちゃえばいいのに。
犬に太刀打ち出来ないことが判ると、ジョンはカフェに入っていった。ビールを頼んだんだけど、バドワイザーとコロナしかない、と言われてちょっとがっかりしてたよ。ビールはハイネケンが一番なのにね。仕方がないから、コロナを頼んでた。一応、格好つけてライムなんか搾ってたけど、本当にうまいと思ってるのかな?
それから、ホットドッグ・スタンドに寄っていたよ。嘆かわしいね、やっぱり僕たちブリティッシュは、ぺらぺらキュウリのサンドイッチを食べるべきだよ。Hot dogなんてCool catが台無しじゃないか。
えっ?僕はブリティッシュなのか、って?いやだなぁ、このアクセントでブリティッシュじゃないなんて、誰が言えるの?
そうそう、ジョンが何を着ていたか分かるかい?・・・どーせ短パンだろう、って?よく分かるねぇ。まぁ、基本的に彼は、洗濯機で洗えないものは着ないからね。
その短パン姿でまたビーチに戻って、今度はパラソルの下で本を読んでいたよ、老眼鏡を掛けてね。この年齢で太陽光線は身体に毒だと思うんだけど、彼も若い時に、ほとんど太陽が拝めないような生活をしていたからね。そのことに関しては、僕にも少しは責任があると思ってるんだ。これからの人生を明るい陽射しの下で過ごすのは、いいことだと思うよ。

おや?・・・19日はジョンの誕生日だったね。そうか・・・それじゃ下界滞在延長届けを出して来よう。そして、もう一度ジョンのところへ行って、ちょっとイタズラをして来ようかな?うふふ・・・楽しみだなぁ・・・。
いや、突然来たのに歓待してくれてありがとう。ビール、おいしかったよ。
See you next summer, darling, God bless you!

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