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白雪姫

Written by Yuriさん

昔、あるところにそれは白雪姫という美しいお姫様がおりました。
白雪姫はあまり外に出たがらず、お城で電気修理や自作の家電製品作りに
励んでいました。
ある日王様は新しい妃を城に迎えました。
妃は大変神経質で一度怒るとグチグチと長いお説教が続くので
白雪姫は新しい妃をあまりこころよく思わないのでした。
また妃も電気修理などを自分から買って出るのですが
頻繁に失敗を起こすので召し使いの間からは「白雪姫の方がよっぽど器用だ。
ついでに妃のパーマをかけた髪型は修理に失敗して爆発したからだ」
と囁かれていました。
その噂を耳にした妃は召し使いを問いつめるのですが、当然本当のことは話しません。
しびれを切らした妃は嫁入り道具として持ってきた魔法の鏡に問いました。
「召し使いの噂は本当?そこのところを君に訊ねたいんだけど」
すると鏡は答えました。
「事実だと確認されました」
「白雪姫の技術より私の技術の方が劣っているのか?」
「…少し…若干…多少…幾分…あっ、所用を思い出したのでこれにて失敬」
「鏡にどんな用事があるというのだ、本当のことを言いたまえ!」
鏡は黙り込んでしまいました。
「なんとかしないと私の権威も失墜してしまう、白雪姫を捕らえないと」

この噂はすぐに城内に広まり、白雪姫の耳にも入ってきました。
「お妃様があなた様を捕らえようとしている」
身の危険を感じた白雪姫は持つ物もとりあえず、召し使いに誘導されながら
城を飛び出したのですが、夜になり、道に迷って召し使いも見失ってしまい
一人取り残されてしまいました。
「どうすればいいんだろう、城には戻れないし…」
すると近くの森からいい匂いがしてきました。
「お腹が空いたなあ、何か食べさせてもらおう」
白雪姫は森の中へ進んでいきました。

森には朽ちかけた家とは全く対照的に着飾った小人がスープを作っていました。
人の気配を察して小人が振り返ると白雪姫が物欲しそうにスープを眺めていました。
「なんだ、欲しかったらいくらでもあげるよ。そこに座るといい」
小人は気前良くたくさんのスープを白雪姫にごちそうしました。
「おかげで助かりました」
「それは良かった。けど、なんで君のような美しい人が
何の用でこんなところにやってくるの?」
「私は命を狙われているのです」
「なんだかわからないけど、それは大変だね。しばらくここに隠れているといいよ」
「ありがとう。ところで小人は7人じゃないの?」
「僕は『7つの顔を持つ小人』なんだよ」
小人は妖し気に笑いました。

お城では、白雪姫が姿を消したと知った妃が召し使いを詰問していました。
誰も口を割らないので再び魔法の鏡に問いました。
「白雪姫はどこにいる?きちんと答えないと資源ゴミの日に出すよ」
鏡は答えました。
「お妃様の陰謀を召し使いを通じて知って、城から逃走しました」
「だからどこに逃げて、どこに隠れているんだって聞いているじゃないの」
「ちょっと私はそこまで把握できていないもので…ああっ、資源ゴミは嫌ですぅぅ!」
可哀想な魔法の鏡は木曜日の朝に資源ゴミとして回収されてしまいました。
仕方ないので召し使いの詰問を続けていたところ、ようやく口を割った召し使いに
よって白雪姫の居所が判明しました。
妃は毒りんごをこしらえ、魔法使いのおばあさんに化けて森へと向かいました。

「知らない人と話をしてはいけないよ」と言い残して森の奥へ小人が出掛けました。
白雪姫は退屈なので朽ちかけた家の補修作業を始めました。
作業の半ばで誰かがやってきました。
「こんにちはお嬢さんおいしいりんごはいかがかな?」
黒い服を着たおばあさんとおぼしき人が白雪姫に声を掛けました。
「今はあまり食べたくない」
「本当においしいよ、1つあげるから食べてごらん」
「だから今はお腹がいっぱい」
「…1つ置いて行くから、絶対食べておくれ」
そう言い残しておばあさんは去っていきました。
白雪姫は再び作業に戻りましたが、日も暮れてお腹が空いてきたので
先程のりんごを丸ごと1つ食べてしまいました。
「ああ、なんだか眠い…疲れた…」
そこへ小人が帰ってきました。眠っている白雪姫を見て小人は
秘かに企んでいた『寝込みを襲う』を実行しようとしました。
しかし、揺さぶれど揺さぶれど白雪姫は一向に目を醒ますことはなかったのです。
異変に気付いた小人は八方手を尽くしましたが全く効果はありません。

小人は嘆き悲しみ、白雪姫の好物の塩味ピーナッツを大量に詰め込んだ
ガラスの柩に白雪姫を横たえました。
そこへ通りがかったのは隣の国の王子様。白雪姫の美しさに一目惚れし、
「なんと美しい姫が、こんな姿に…愛のキスで蘇らせてみせる」
王子が柩の上に四つん這いになり、白雪姫に口付けようとしました。
「白雪姫に触るな、それに柩が壊れてしまう!」
「何てことを言うんだ、俺の体重も知らないくせに」
怒りと嫉妬に燃えた小人がマイクスタンドを武器に王子に襲い掛かってきました。
王子樣は腰にぶら下げていたドラムスティックでこれに応戦し、
下心むき出しの争いを始めました。
すると「木」の役を演じていた男がスキをみて白雪姫の柩に近寄り、
白雪姫の口に塩味ピーナッツを一粒入れると、息を吹き返しました。
目を醒ましていることを確認すると男は柩の蓋を閉めて、
カートに載せて白雪姫を連れ去っていきました。

男の正体はなんと妃でした。
「あっ、なんでお妃がここにいるの!?」
「もう妃じゃないよ。くだらない台本はもうページがないからね」

「一人三役大変だったんじゃない?」
「君のことを思えば苦しみも喜びに変わるんだ」
「フレディみたいなことを言うね」
「…話が変わるんだけど…」
ブライアンがジョンにすりよって来ました。
「喧嘩もたくさんしたけれど、僕はやはり君のことが…」
「ちょっと待ってよ、僕には妻と6人の子供が…」
「子持ちに関してはお互い様だよ。それに僕の子供は将来有望だからね」
「そ、そんなこと聞いてないよ、やめてブライアン、わぁぁ…!」

―いつの間にか日が暮れて、争いに疲れた小人と王子は意気投合し、
白雪姫のことなどすっかり忘れて二人仲良く森の奥へと消えていきました。
「今夜はパーティ!」

めでたしめでたし。
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