[ 配役 ] | [ 本名 ] | [ 劇中名 ] |
王子 | ジークフリート | サロペット・ジョンジョロリン・デコン |
白鳥の王女 | オデット姫 | オレッド・スペサル姫 |
黒鳥の王女 | オデール姫 | ハデール姫 |
王妃 | エリザベートとかその辺 | レディ・オ GA GA |
悪魔フクロウ | ロットバルト | ヨックバルト |
【プロローグ】
ここは18世紀ごろのヨーロッパの片隅の小さなサロペット王国、森に囲まれた美しい城がある。
王子ジョンジョロリン(通称John)はもうすぐ20歳になるが妃を迎える気も無く鼻歌交じりののんきな毎日、
悩みは長い名前だけ。息子を溺愛する母 レディ・オGA GA(ヨーロッパきっての美貌の持ち主)の心配は
つのるばかり、今日も小言のアメ・アラレ…。
【第1幕】
「いい加減におし、サロペット・ジョンジョロリン・デコン!」
「母上 レディ・オGA GA、あなたこそ何もお分かりでない」
「いいえサロぺット・ジョンジョロリン・デコン んもー長い名前ね ミドルネームで呼ぶわ、ジョンジョロリン」
「Johnで結構です」
「遠慮しないで」
「してません」 ムッとしつつ 「母上、私は当分は自由でいたいのです まだ20歳前ですよ」
「あら 私は20歳の時にはもうお前を抱っこしていたわ」
「そりゃそうでしょう、出来ちゃった婚ですから」
「ギクッ 知ってたの」
「当たり前です、結婚式から3ヶ月後に生まれ3800gの未熟児がどこにいるのですか」
「お前もすっかり大人になったわね。でもどう転んでも余り変りのない生活だったと思うわ、人生なんて気楽に考えればいいのよ Any way the wind blows セラヴィよ」
「いつも楽観的でうらやましい、レディ・オGA GA」
「あっ!今 レディ・オBA BAって言った」
「まさか 私の自慢の母上に」
「フフフ、可愛いい事言うのね その調子でカワイ子ちゃん口説いてらっしゃいママのような飛び切りの器量良し、特に歯よ、歯は大事よ(又か)、DHAのため美人のお妃を選ぶよの、SEE YOU」
言いたい放題でレディ・オGA GAは去って行った。
「それも言うならDNAです…、相変らず華やかなお方だ」
王子ヤレヤレと首を振った。まだ結婚など考えてもいない。しかし母に言われると現実のものとして心に重くのしかかってきた。
♪I want to break free♪好きな歌を口ずさみながら窓の外を見た。夕暮れの空に鳥の群れが飛んでいる。
「気晴らしに鳥でも射てみるか」 (良い子の皆さんは決して真似しないで下さい)
急いで着替え弓矢を持ち鳥の群れを追った。
森の奥にたどり着くと白鳥の群れが湖で泳いでいた。
「しめた!今夜は焼き鳥が腹いっぱい食えるぞ LUCKY〜♡」
母に似たのであろう、かなりノーテンキ。
木陰に身を潜め弓を構え♪ディカ デュン デュン Don't you Misfire ジューリアー(私にはこう聞こえる)♪鼻歌交じりで狙いを定めた。彼は歌が大好きだった。
その時月が雲間から現われ辺りは月光に照らされた。すると今まで泳いでいた白鳥が次々と岸に上がり始め見る間に人間の姿に変って行った。
「ヒエー」 危うく腰をぬかしかけ一目散に逃げ出し森のはずれの草むらに倒れこんだ。息をととのえているとその頭上を1羽のフクロウが襲ってきた。
「何だ フクロウかハゲタカか?」
「こら 誰がハゲやねん!そんな事ゆーとったら罰当てるでー」
雷鳴とともに突風が吹きフクロウは悪魔に姿を変えた。
「あほー」頭上にはカラスが飛んで来た。
「おい、誰がハゲや ええか、二度とこの森の奥には行くな 今見たことは誰にも言うな!」
黒い悪魔は恐ろしい形相で睨んだ。負けず嫌いの王子は勇気をふりしぼり叫んだ。
「バカー 何と言われても明日絶対に行ってやるからなー」
彼にとって人生で最高の憎まれ口だった。
どこをどう走ったか思い出せないまま城に帰り部屋に鍵をかけベッドにもぐり込んだが震えが止まらなかった。
「何だったのだ あの白いのと黒いのは」
【第2幕】
次の朝レディ・オGA GA からお呼びがあった。いやな予感を感じつつノックをした。
「お早う ジョンジョロリン」
「Johnで結構です」
「遠慮しないの」
「してません」
「あらどうしたの、眼の下にクマが」
「白クマですかヒグマですか」
「アライグマ!ほほほ」
「朝からお元気ですね」 王子は眠れなかった。
「どう、心ときめく姫に会えて?」
「そんな1日や2日で」
「だと思ってこの日曜に舞踏会を開く事にしたの」
思いつくとやることが早い王妃である。
「その中から必ず妃を選んで今月中にお式を挙げて来年中に孫を作るの お分かり」
「・・・」
王妃には逆らえなかった。憂鬱な気分が又昨夜の悪夢を思いださせる。
「絶対に行ってやるからな」
日暮れを待ちかまえ弓矢を片手に再びあの森に行った。頭上に白鳥の群れが飛んでいる。
「しめた」 急いで後を追うと昨日の湖にたどり着いた。
白鳥は羽を休めていた。先頭の白鳥は王冠をつけている。月が輝き始めると白鳥は岸に向かって泳ぎだした。 冠をつけた先頭の白鳥が見る間に純白のドレスをまとった女性になると次々他の鳥も姿を変えて行った。
「きっとタヌキかキツネにだまされているんだ、こいつめ」 矢を放った、が見事外れた。
「アーMisfire」
「ちょっと何するの、矢白鳥にする気!」(昔ありました 矢ガモ)
リーダーと思しき王冠をつけた女性が神経質そうな金切り声を上げた。
「すみません」
「殺す気!警察に言うわよ」
「そればかりは・・・」
「じゃあ どうして私が白鳥になったのか聞く?」
強引な女である。
「長引きますか」
「いやなの?」
「いえ、ちっとも」
「あのね・・・」 女は鳥の巣のような髪を掻き揚げながら延々と話し始めた。近くで見ると自分よりかなり年上に思えた。
「私の名はオレッド、オレッド・スペサル そこそこの国の王女でした、お星様を見るのが大好きで、ある夜星を見ていたら悪魔が来て」
「笛を吹きに?」
「ムシ!お嬢さん星がお好きですかって聞くから ええ星占いなんかもやりますの って言ったら 是非わしも占ってくれって言うからお星様が教えてくれる通りに言っただけなのにかんかんに怒って私に呪いをかけたの」
「いったい、何て言ったの」
「おじさんは恋愛・結婚は絶対出来ない・幸せな家庭は築けない・短気でわがまま・悪趣味・ナルシスト・浪費癖あり・長生き不可・悲劇的な人生…これ位かしら」
「(あっ この役 Fさん?)…でどんな呪いを」
王女は深呼吸して再び長い話しに入った。
「≪永遠の翼≫と言う呪いです 人間を鳥に変え夜だけ元の姿に戻れるというもの。この呪いを解くには私に真実の愛を誓い結婚・・・ もしもし聞いてます?」
王子は睡魔に襲われ生あくびをかみ殺しながら右の耳から左に聞き流していた。
「う、うん 聞いてます。それで・・・」
「ネコ踏んじゃった」
「それはごもっとも!」
「やっぱ 聞いてない…でもそれが不実の愛だと呪いは解けず一生このままです。でもどうやってここで私を本当に愛してくださる方にめぐり会えまして?昼間鳥の姿で!かぶりもではございませんのよ≪永遠の翼≫、つまり一生鳥のままで羽を背負ってろ、て事ですわ、えげつなー、 今みたいなこんなチャンスが…何時又来るか…」
姫は上目遣いでにじり寄った。
「もうそろそろ帰り…」
「お待ちになって」 姫はすがるような眼差しで更にグイとにじり寄り腕にしがみついた。
「もし呪いが解けたら私はあなたのものですわ あなたの妻にも奴隷にでもなりましょう♪ オーデロー」
「いえ結構です」
「遠慮なさらずに」
「してません」
「じゃあ私達を見殺しにするのですね、結構ですどうせあなたの矢が当たっていたら死んでいたのですからお先真っ暗の結果は同じことです。誰か110番!」
「待ってください」
王子は地味かつ雄弁なこの姫があの華やかな母と上手くやっていけるか不安であった。
「平気、元が水鳥ですから水仕事もイヤではありませんわ」
「いえ、そういう仕事は…」
窮地に陥った。その時カラスが旋回してきた。昨夜の悪魔の脅しを思い出した。ここで弱気になってはなめられる。一世一代の虚勢を張った。
「いいでしょう 母の口癖です どう転んでも余り変りの無い人生 セラヴィ 人助けだ 日曜日に城で舞踏会があります 来て下さい母に紹介します」
「ヤッター!!」
姫は狂喜乱舞で侍女達と踊り始めたが姫はひどいO脚であった。
「1羽のペンギンと2羽の白鳥だなあ・・・」
王子は今更ながら後悔した。空であのカラスが「アホー」と鳴いた。
「お前が来なきゃあんなこと言わなかったんだぞ、悪魔の手先め」
カラスに石を投げたが届かず落下し踊り狂う姫の頭に当り脳シントウを起こした。
「チャンス」 一目散に森の出口に向かって駆け出した。
と背後から「アホー」 人の気配が。
「人がいいにも程があるてもんさ」
振り返ると黒ずくめの不思議な女が立っていた。髪・瞳・ドレスそして顔半分を隠すベールも黒だった。
「誰だお前は」
「誰でもいいじゃん あたいもパーティー行きたい」
ハスッパな話し方である。無視して歩き出した。
「あたいに招待状は? 無視してもだめだよ 覚えときな 明日絶対行ってやるからなー」
女はからかうように言葉を背に投げた。王子は覚えのある言葉に苦笑いしはっと気がつき(ちょっと待ってPlay back)
「なぜその言葉を」振り返ったがもう誰もいなかった。
頭上でカラスが「あほー」と鳴いていた。
「ほんとに私はアホだ どうしよう」♪Too late much too late ♪…」 ヤケクソで歌った♪ギャオーーーーーー♪
【第3幕】
日曜日 舞踏会の準備で城は大忙し。
王妃はお気に入りのエメラルドグリーンのドレスでおめかしに大忙し、
「自分で言うのも何だけど私って綺麗!」うっとりしている、が王子だけは人生最悪の日…朝からふさぎ込んでいた。しかしあの黒い瞳の女性を思い出すと胸が熱くなった「何故だ…」 あのてのタイプは初めてで妙に新鮮であった。
いよいよ舞踏会が始まった。隣国はもとより東洋・中近東の王侯貴族が入場して来た。
「アライヤンナイトよりイブラヒ〜〜ム様とジャスミン様 (場内よりムスタファコールが起こる)、ジパングより1人参加 mami 様」
舞踏会は始まった 日が落ちないのでオレッドはまだ鳥のままだ。
「このまま陽が暮れないでくれ」王子は祈った。
「お気に入りの姫はまだ見つからないのですか」
レディ・オGA GAはいらだって箸でその辺の食器を叩きまくった。
「ええ・・・」
その時「黄泉の国からヨックバルト様とハデール姫お越し」
場内が静まった。黒ずくめの一団が入場しその中央にあでやかなガウンを羽織った女がいた。
「あっこの前の」 女は指を鳴らしながらフロアーの中央に進み出て黒い情熱的な瞳で王子を見つめながら踊り始めた。挑発的かつ官能的な踊りに会場内がしーんとしている。侍従のエドニーがマイクを持った
「イヤー実にSEXYです。こんなダンスやドレス見たことがありませんがおそらく東洋のものでしょう、来賓のゲイシャ マイナさんに伺いましょう。もう一名東洋人がおられるがヘベレケで階段でつぶれています」
「これはキモナイというジパングのトラディショナルなドレスです ベルトはオビと言います」
「おっと オビに手をかけました」
一同固唾を飲む中ハデールはゆっくり音楽に合わせオビを解き始めた。
「あーこれは振袖ストリップショウというものですね」
♪Hey Big Spender 〜♪解いた帯をひらひら振るとはらりと落としキモナイを脱ぎ始めた エドニー・王子・なぜか王妃まで鼻血を出している。女はゆっくりキモナイを肩から滑らせ、くるりと回り、するりとそれを落とした。場内は静まり返った。
次の瞬間失望と安堵のどよめきが起きた、皆同じことを想像していたようだ But 女は赤白シマシマのちょうちんブルマーをはき黒鳥の羽で飾った胸当てをしていた(胸毛かも?)。当てが外れ放心状態の人々を尻目に片手を高く上げそれをくるっと返しバレリーナ風のお辞儀をした。場内拍手の嵐。王子はたまらず彼女に駆け寄った
「よく来たね 王子のジョン…ジョロリンだ」
「行くっていったじゃん あたいはハデール、黒鳥の王女様さ ねえ シャンパンの飲ませてよ、ワインならモリ・エ・シャンドン」
彼女の手を取り甲にキスした。その時窓の外で白鳥が暴れていた。すっかりオレッドのことは忘れている。
「さかりのついた白鳥か?」
「ほっときゃいいのよ」
ハデールの手を取ると中央までエスコートし踊り始めた。
「君のことがなぜか忘れられなかった」
「そうだろうと思った」
エキゾチックな黒い瞳に見つめられると催眠術にかかったような気持ちになる。王子は母の元に行った。
「母上あの方に決めました」 頬を紅潮させた
「あの程度なの?・・・どこの姫?」
「コクチョウとか・・・」
「親はコック長なの?お料理が上手そうね。それで歯は?女は歯が命!」
「・・・バッチリです」 ハデールを引き合わせた。
レディ・オGA GAは彼女のベールの出っ張りが気になった。
「何かくわえているの?」
「エエ そこにあったポッキ−を5.6本」
「この方を愛しています 妻にすることをお許しください」
その時突然あたりは真っ暗になり突風が吹き雷鳴が轟いた。白鳥が1羽乱入し王子を小突き回した。
「ワハハハ これでもう呪いは解けへんで、Look at Zama(ざまーみろ)帰るぞハデ−ル」
「ジョンジョロリン…ごめんね」
2人は稲光の中に消えた。王子は状況を把握できないままやっとオレッドを思い出した。
「謝らなきゃ 好きな人が出来てしまったから力になれないと、ハデールどこだー戻っておいで」
【第4幕】
王子はあの森に入って行った。顔だけ人間に変っているオレッドが泣いていた。
「すまない」
「あんたのお蔭で一生 ≪永遠の翼≫よ どうしてくれるのよ」
そう言われてもどうしていいか分からなかった。
「でも呪いを解く最後の呪文があるらしいの、探して頂戴」
「私が?」
「そうよ 他に誰がいて?不実な約束をした者がその呪文を言わなきゃならないの あんたよ」
出会いから常に一方的である。
「何かヒントは」
突然稲妻が走り悪魔が現われた。
「お前にやるヒントはネーだと言いたいが≪永遠の翼≫に関係ありや」
「しめた それなら分かるぞ」
頭に浮かぶタイトルを叫び始めた。
「夜の天使!地獄へ道連れ!MY BEST・FRIEND!BREAK FREE 数が少ないからすぐ出るはずだ、夜の…」
「No、No、No 外れ!」
「じれったいわ それ一回言ったわよ、他から攻めなさいよ」
オレッドは大きな足で地団太を踏んだ「幸せの王子・ハンカチ王子・ハニカミ王子・キタオオジ・八王子」
「ブー」 四面楚歌だ。
「一度≪永遠の翼≫を唄ってみろや」
「そんなものはよーく知ってる SPREAD YOUR WINGS AND FLY AWAY・・・」
「アホー!」
突然あのカラスが悪魔を襲撃してきた
「アホ、アホ・あほー」
「邪魔だどけ!」 悪魔は稲妻を投げつけた。カラスは炎に包まれ落下し人の姿に変った。
「ダメ!その歌を唄えばオレッドは元に戻るけどあんたは死んじゃうんだよ」
そこには傷ついて瀕死のハデールがうずくまっていた。悪魔は高笑いした。
「そこまで唄えば上出来だそれ見ろ」
オレッドの姿は上半身が人間に戻っていたが、大きな水かきのついた足はそのままだ。
「苦しい!」 王子は息が出来なくなってきた。
「ハデール邪魔した罰だ 王子を地獄へ道ずれにしな あばよ」
「ちょっと私はどうなるのよ 半分そのままで。下半身は色々大切なのよ」
叫ぶ姫を尻目に悪魔はフクロウになり飛び去った。
チアノーゼが現われている王子を傷ついた腕に抱きかかえながらハデールは歌い始めた
「♪SPREAD YOUR WINGS AND FLY AWAY… ジョンジョロリンしっかりして…FLY AWAY…」
美しい歌声が徐々に弱まっていく。見る見る王子の顔に赤味がさした。
「気が付いたんだね…よ・か・っ・た…」
ハデールはゆっくり王子の肩に顔をうずめた。
「どうした」
「この歌をあたいが唄えば愛する人を救えるの、でも命と引き換えさ この歌多機能だろ…あのカラスはあたいだったの ごねんね 初めはだますつもりだったんだけど、今は本当に好きだよ」
2人の眼から涙が落ちた。
「死ぬな」 彼女を抱きしめた。
「あたい最初は天使だったんだ、でも親がオー157で死んじまって 叔父に引き取られたらこれが悪魔だったわけ」
「天使の親でも死ぬのか 悪魔が叔父なんて色々複雑だ」
「魔法でカラスに変えられて叔父のパシリにされたの…」
「ちょっと待って! オレッド救急車を呼んでくれ」
「いやよ、もう羽が無いから飛べないしこの大きな足じゃ走れないわ、携帯も水に漬かり放しだったし他を当って」
「薄情もの」
「私だって苦労して来たわよ」
「John もう時間が無い…」
「ハデール一生誰とも結婚しない ずーと君だけを思い生きて行く 愛してる」
王子は彼女のベールをあげキスしようとした。
「OH MY GOD」
そこには大きな黄色いクチバシが。
「だからカラスだって言ったじゃん」
「構うもんか」
王子はキスしたその瞬間クチバシが外れ中から同じような形の前歯が現われた。子供の時にかけられた魔法が解けたのだ。
外れたクチバシを力まかせにほうり投げた。それが木の上から様子をさぐっていた悪魔のフクロウの脳天を直撃、落下した悪魔は地面に叩きつけられた。それを見たオレッドは髪を逆立て狂ったように大きな足でフクロウを踏みつけた「このやろー・コンチキショウ」とても女性とは思えなかった。悪魔は死んだが状況は変らない。
「自由になった…ウレシイ… Love me like there is no tomorrow…」
「死んじゃダメだ」
「ジョンジョロリン…あんたの歌声を私に頂戴、そうすれば1人でも淋しくないから I still love you・・・」
静かに眼を閉じた。
「可愛そうなハデール」 王子は抱きしめ号泣した。少し前歯を出して微笑んでいるような安らかな顔だった。腕の中の彼女の体が次第に軽くなるのを感じた。眼を閉じると一筋の光が差し込みハデールの体が天に向かって吸い込まれて行くのが見える。笑い声や足音が響きどんどん登って行く、見ると背中に白い羽が。
「天使に戻ったんだ」楽しそうに飛んでいる♪SPREAD YOUR WINDS AND FLY AWAY〜♪もう涙で見えなくなりかけたとき天国の扉の前に着いたのであろう、彼女は振り返ってニツッと前歯を見せた。
「もう一度言ってくれるんだ I still love you と」
王子はひざまずき待った。ハデールは微笑んだ。そして言った
「アホ!」
【エピローグ】
湖の岸で王子とオレッドが罵り合ってた。
「薄情もの」
「何よそっちこそ嘘つき 薄情もの」
「君が少しでも手伝ってくれていたら、薄情もの」
「あんたこそ身勝手な薄情もの」
「薄情ものに薄情ものといわれたくない、薄情もの!」
2人は言い争った。それ以来この湖は「薄情の湖」と呼ばれるようになった。そして王子の口から2度と歌声が流れることは無かった。
余談だが3ヵ月後王子は結婚し生涯子供を6-7人儲けたそうである。
あんた何て言った?!?!真実の愛って何よ!!By ハデール
タイトル変更 「はくちょうの湖」 → 「はくじょうの湖」
【完】