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Q地蔵

Written by こんつさん

昔々あるところにジョンという内気な青年がおりました。
彼はとても貧乏でしたが、辛い時でも笑顔を絶やさない好青年でした。
ある年の大晦日の夜、ジョンが道を歩いていると
三体のお地蔵様が雪まみれで佇んでいるのを見つけました。
可哀想に思ったジョンはしもやけのできた手でお地蔵様の雪を払い、
カーリーヘアーのお地蔵様には自分が巻いていたマフラーを、
金髪のお地蔵様には帽子を、
そして立派な前歯をしたお地蔵様には一張羅のアロハシャツをそれぞれ着せてあげました。
ジョンは寒さに震えながらも満足そうに微笑み、雪の降る中を家路へと着きました。

その深夜、お地蔵様たちは神通力で会話を始めました。
最初に口を開いたのはカーリーヘアーのお地蔵様です。
「二人とも見たかい?あの青年を。
自分の身を犠牲にしてまで僕達に与えてくれたあの優しさ、僕はとても感動したよ。
何か彼に恩返しをしてあげたい」
「おう、人の親切ってのは嬉しいもんだな。よっしゃ、歳末大サービスだ!
ここはひとつド〜ンとでっかい家でもプレゼントしてやっか!!」
「さすが金髪地蔵、太っ腹だね。あ、別に深いイミは無いよ。じゃあ僕は何にしようかな。
ヴィンテージ物のギター、高性能天体望遠鏡、それとも大きいペンギンのぬいぐるみがいいかな…」
「…おい巻毛地蔵、それってお前の欲しいモンじゃねーのか?
無難に美味い食事と酒あたりにしとけよ。で、前歯地蔵、お前は何をやるんだ?」
「僕?僕はヒミツさ♪フフフ…」

元旦の朝、目を覚ましたジョンは見違えるほど豪華に豹変した我が家と、
食卓に所狭しと並べられた御馳走に腰を抜かさんばかりに驚きました。
そしてそれ以上に度肝を抜かされたのは、
ベッドサイドから自分に熱い視線を送り続ける謎の男の存在でした。
「ハニー、昨夜は素敵なアロハをありがとう。お礼にこれからは、毎日僕が君を温めてあ・げ・る♪」
「あの…、一体どなたですかあなたは?…ねえ、ちょっと…、やめてください、うわぁ…!」

その後、なんだかんだ言って二人は末永くラブラブに暮らしたそうです。
                                               

                                         おしまい。

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