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Queen of Hearts -- ハートのクイーン

A QUEEN A WEEK: 2 - JOHN DEACON
"DISC" April 20, '74
written by Rosemary Horide
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クイーンを見ていて一番びっくりするのは、全く違う個性を持つ4人が集まっているのに、グループとして完璧にひとつになっている、ということ。そろそろ、ひとりひとりをクローズアップしてみる頃だと思いました。ポップ・ミュージック界に燦然と輝く“スター”たちの裏側です。

ジョン・ディーコン、ときどき名前をひっくり返されちゃって「ディーコン・ジョン」になっている彼は、クイーンの中でぶっちぎり一番の謎めいたメンバーです。決して不親切という訳ではないのだけれど、他の3人のように進んで意見を言うことは滅多にありません。目の前の会話をただ静かに聞いていて、時折微笑みながら、全部心の中にしまっちゃうタイプなんです。

ステージでも全然目立たなくて、ロジャーと一緒にリズム・セクション(“ソニック・ヴォルケーノ(音波火山)”と彼らは冗談交じりに呼んでますが)を担当するのに忙しくしています。

「でも彼、オーディエンスのウケが良いんだよね」ブライアンが打ち明けてくれました。「コンサートの後、ご婦人方に囲まれるのはいつだって彼なんだから」

ジョンはにこっと笑い、否定しようとしています。 「サインを貰う時って、ひとかたまりになって次々に移動しようとするものじゃない、きっとそれだよ」 これでは誰も納得しません。

ジョンが沢山のレディー達を惹きつけるのは事実です。古き良き時代のジョージ・ハリソンと同じ類の魅力、というのでしょうか(2つのグループを比べるつもりは少しもありませんが)。フロント・マンでもないのに、彼女たちはジョンにうっとりなんです。個人的に、他のメンバーよりもファンが大勢いたとしても不思議ではないと思います。

よって、ジョンを「ハートのクイーン」にチョイスしました。8月19日、ロジャーと同じ獅子座生まれですが、誕生日は両端に位置しています。この星座の典型的な特徴は、いつも幸せで、家族愛に満ちていること。本当に、ジョンがかんかんに怒っているのなんか見たことがありませんからね。とても家族想いで、その上自分を保てる人のようです。

クイーンでの音楽面での目覚しい働きは別として、ジョンは、エレクトリック・ウィザードでもあるんです。器材関係のトラブルが起こると、黙って不具合を直すのが彼。電子工学に長けた人がいるグループなんて、滅多にありませんよ。

「学位を取るのに、チェルシー・カレッジ(ロンドン大学の一部)に通ってたんだ。で、電子工学で優等学位☆(first class honours:学部に1〜2人いるかいないかの超優秀な成績)を貰って…その後、当時はまだ僕たち暇があったから、音響振動工学の修士コースを取ってた。とても関連のある内容だったからね」

大学は、ジョンが他のメンバーたちに会った場所でもありました。

「ちょうど、大学のディスコで出会ったんだ。ベース・プレイヤーを探してるって聞いたから、オーディションを受けに行った。彼らはもう“クイーン”を名乗っていて、僕も一回だけ観たことがあったんだ」

ジョンは広範囲に渡ってグループに安定感を与えているのですが、いつもいつも物静かだというわけではないようです。

親切な同僚たちが暴露してくれました。 「ときどき彼はバンド一の暴れん坊になるんだよ…酔っ払うとね! 『トラスト・ハウス・フォート ☆(欧州など各国にホテルを有する英国の会社)の災いの種』って呼んでるんだ」

ほんと、ジョンには時々驚かされますよね。私、彼はバンドの中では一番、うぬぼれ屋さんには程遠い人だと思っていたんですよ。でもこの前会ったときの彼は、ちょうど髪を整えたところでした。出来映えに自ら満足した様子で、フレディのフラットの鏡の前で得意気な顔をしながら。☆(場所柄もよろしいようで)

「うん、まんざらでもないよね」 にっこり笑って彼は言いました。本当のところ、まったく素敵でした。もし私が現代のレディ・キラーの一人だったとしたら、頭を抱えちゃいそうなくらい。クイーンがライヴを終える前から、ジョンは多くのハートを捉えることでしょう。


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