The Early Years (8)

Written by Mark Hodkinson (OMUNIBUS PRESS)

Chapter 10 : New Album, Old News (p.167)

(1973年、ようやくファーストシングルを出した頃の話)

久々にオードビーに戻ったジョン・ディーコンは、リリース前の「Keep Yourself Alive」のテープを、The Oppositionの仲間だったデイヴ・ウイリアムスに聞かせている。「彼がこのデモを提げて現れた時のことをよく覚えてるよ。あの頃は大きくて古いローバーを運転してたっけ。とにかく、すごくいい曲だと思った。特にギターが最高だってね。リッチー・ブラックモアと同じくらい凄い、と言った覚えがある。僕等はディープ・パープルに心酔していたから、これは最高の誉め言葉だったんだ。でもジョンはこう言ったよ…それ聞いてブライアンがどう返事するかは分からないなってね!」

ロンドンに帰る前、ジョン・ディーコンはデイヴ・ウイリアムスにある頼み事をした。クイーンのデビューアルバムの売れ行きをよくするために、レスター中の店を廻ってアルバムを予約してくれないか、と。「実はちょっと出遅れてね」デイヴは言う。「もうリリースされてしまったんだ。でも、行く先々で売り切れだって言われたよ。あれにはかなり驚いたな。そんなに多くの人がクイーンを聞くとは思ってなかったから。ジョンをすごく誇らしく思ったよ」

ジョン・ディーコンがオードビーでいつも一緒にいた友人はナイジェル・バレン、The Oppositionのドラマーである。彼もまた、早い段階、ジョンがファーストアルバムの見本テープを持って来た際に、クイーンの音楽に触れている。ナイジェルと彼の妻ルースはそれ以前からジョンにとってクイーンがどれほど重要なものであるかを知っていたが、この時の彼の白熱した様子にびっくりした。ジョン・ディーコンはクイーンの10年計画や将来のワールドツアーについて、夜が更けるまで事細かに語ったという。それはまるでおとぎ話のように聞こえたが、彼らは気にしなかった。「いつもは物静かで控えめな彼のあんなに活気溢れた姿を見たのは、あの夜が初めてだった」ルース・バレンは言う。「何時間もクイーンのことを喋っていたの、繰り返しアルバムをかけながら。全部うまくやり遂げた訳よね…ほんとに細かいディティールまで。彼は他のバンドについても喋ってくれてたわ。どんな風に解散しちゃうのかとか。だから、いかに一番最初からすべてを上手くオーガナイズしなきゃいけないのかってことをね」


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