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Rock Show 84

(ローラ・Taylorさん秘蔵テープより)


――プロモーションに出るということはとっても珍しいことだと思うんですけど。
ジョン:そうだね。
ロジャー:たしかに。
――別にクイーンくらいになったら、プロモーションに出かけなくても売れちゃうんじゃないかなと思うんですけど。
ロジャー:いやいや、そんなことないよ。ステージに役に立つとジョンと僕は思ったし、僕らが極東に行きたかったせいもあるんだ。
ジョン:それにさしあたってのツアーはないしね。…良いアイデアだと思ったんだ、ハードワークにはハードホリデー。
――バケーションは日本でとるつもりなのかな?
ロジャー:いや、そういうわけじゃ…
ジョン:さしあたって今はホリデーとは言い難いな(笑)
ロジャー:まあ、レコード会社を変えたところだし、新しいスタートということでプロモーションをするのもいいんじゃないかと思ったんだよ。
――こういう形でどこか他の国にも行くんですか?
ロジャー:いいや、僕は一度イタリアに行ったことがあるけど、ただ行きたかったから行っただけさ。いつもはこんなことあまりしない。
――ツアーで来たときとこういう形で来たときでは、気分的に違いますか?
ジョン:違うねえ。
ロジャー:ツアーで来た方がいいな。この10月にはまた来るつもりだけど。
――ツアーで来た方がいいっていうのは、どうして?
ロジャー:うーん、もっと満足できるからかな。
ジョン:そう。だって、初めて来てからもう5回目になるけど、いつでもプレイしてたじゃない。だからそれに慣れてしまってるんだよ。でも…7月までツアーの予定はないし。
――7月から、ほんとに? 春からヨーロッパツアーがあるときいてたんですけど。
ジョン:しないことになったんだ。
ロジャー:今のことろヨーロッパツアーは考えていない。でもたぶん来年は必ずやるよ。
――もう具体的にツアーの内容とか構成とかそういうのは決まってるんですか。
ジョン:うん、南アフリカが最初。
――その後は?
ジョン:まだ大まかなことしか決まってないよ。
ロジャー:そう、完全には決まってない。ラフなアイデアはあるけどね。
――どこへ行くっていうのではなくて、ステージはこうしたいとかは…?
ロジャー:ああ、模型があるんだよ。(ごそごそしている。模型を出しているのか?)これはね…今までで最高のステージセットさ。とってもビッグで、とっても凄いんだ。「ワークス」の全てを見せられたらなと思ってる。面白いんだよ。大規模なショウにしたいな。
――今までは大規模じゃなかったというのでしょうか(笑) じゃあ、10月ですね。楽しみにしてます。
――ロジャーの曲が大ヒットしたんですよね。ロジャーに感想を聞きたい!
ロジャー:ヒットしてすごくハッピーだよ。僕が書いた中で初めてのシングルだったしね。いろんなところでヒットしてるみたいで…ほんと、すごく嬉しい。
――例えばジョンの曲がヒットしたようなときと、今回では喜びが違うんでしょうか。
ロジャー:いや…
ジョン:個人的な部分では嬉しいだろ。
ロジャー:そうだな、嬉しいオマケがついてきたって感じかな。グループがハッピーになれることが一番だけどね。
――その曲の中で、音楽がこの何年かで変わったっていう詩があるんですけど、具体的にどういうふうにかわったと思ってるんでしょうか。
ロジャー:いっぱい変化したよ。「愛という名の欲望」みたいなロカビリー、「ボヘミアン・ラプソディ」みたいな超大作、ハードロック、それから「地獄へ道連れ」みたいなダンスヒット…
(これは聞きたかった返事ではなかったらしい。しばらくインタビュアーと 通訳さんがごちゃごちゃと話し出す)
イ:あのそれはクイーンの曲の中でしょ、そうじゃなくて。
通:ロジャーさんだけの?
イ:ううん、違うの。彼の詩の中に音楽が変わったっていう詩があったのね。
通:ああ、彼の詩の中に。
イ:そう、’ラジオ・ガガ’の詩の中に。だから、クイーンの曲じゃなくて
通: ああ、ラジオ・ガガだけで?
イ:…周りの音楽状況がどういうふうに変わったか クイーンの曲のことじゃなくて…。

(聞き直す通訳さん)
ロジャー:うーん、特にイギリスでの変化が激しいね。何もかもがファッション重視になってきた。ファッション・ファッション・ファッション…毎月のように変わってる。今は…そうだな、エレクトロニックなサウンドが多いかな。 ちょっと前はダンスの時代だったし、その前はディスコやパンクが盛んで…。
――あの詞を読んでてね、あの…とっても今音楽がビジュアルの面が大切になってきているでしょ、ビデオ時代で、そういうものに、あんまり賛成じゃないのかなっていうあれがあったんですけど。
ロジャー:全くその通りだよ。モンダイはね…あー、僕ばっかり喋っちゃってていいのかな。
ジョン:いいから続けて。僕はリラックスしとく。
ロジャー:モンダイなのはね…音楽というのは本来聴覚的なものであるべきだと僕は思ってるんだけど、ビデオの影響でどんどん視覚的なものになってきたということだね。ビデオを余りにも重要視しすぎているよ。 特にアメリカはそうだな。イギリスでも同じだけどね。ビデオはすごくいいんだけど歌はサイアクって場合も多いよ。
――じゃあ、そうじゃないって言いたいわけね。つまり、耳からでないとだめっていう…。
ロジャー:うん。もちろん視覚的な要素は役に立つけど、それが前面に出てきちゃいけないと思うんだ。
――私もそう思います。
ロジャー:そう? サンキュー。
――今度の新しいLPに入っているジョンの曲なんですけど、「I WANT TO BREAK FREE」、この曲は個人的な経験からきているんでしょうか。
ジョン:たぶんそうかもね。グループを出て行きたいっていう気分からきてるのかもよ(笑)
――ごく最近の経験?
ジョン:たぶんそうかも。いろんなものが背景にあるとも考えられるよね。自分が属している所での人々との関係とか、自分の両親との関係とか、様々なシチュエーションがあるじゃない。
(ここでロジャーが何か冗談を言って2人で笑っているが聞き取れない)
――クイーンの皆さんはみんな4人とも曲が作れるから、一枚のLPに入る曲数って限られるでしょ、そういう場合曲ってすごく余っちゃうんじゃないかと思うんですが。
ジョン:たしかにね。
ロジャー:でもそれは、良い意味でのプロブレムだと思うな。 エゴをお互いに理解して、妥協点を見つけてどの曲を入れるのかを皆で決めるんだしね。
――そういうときは何をポイントに選ぶんですか?
ロジャー:「ワークス」の時のこと?
ジョン:すごく時間がかかるプロセスさ。議論したり吟味したり、いろんなことやって、アルバムに入れるかどうか煮詰まっていくんだ。
ロジャー:まず最初に好きになれるかだね。あと、アルバムにフィットしているか、聞いてていいものであるかとかも考えながら選ぶ。
――最近、ひとりずつじゃなくて共作っていうパターンが何曲かあるんですけど、どうやって共作するんですか? たとえば誰かは詩で誰かは曲とか、それとも二人でがしゃがしゃ作るのか…
ロジャー:時々は一緒に作るけど、皆で少しずつって時もあるし、サビだけ書くとか、自分のオリジナルに皆が手を加えるとかもあるな。
――これは私の意見なんですけど、クイーンっていうのはね、すごい自分なりの音楽を持ってて、それをがーっとこう推し進めているいるようにみえるけども、なんかちゃんとこう周りの新しい物にも気を配ってるとかね、そんなふうにみえるんですけど。
ロジャー:うん、そうだね。
ジョン:だって、いつも同じ4人なんだからね(笑)
ロジャー:まったくだ(笑)
――たとえば4人の中で、もうオリジナリティばかりに拘ってる人と、例えば他のいろんなイギリスの他の音楽とかアメリカの音楽とか常に見てて、それを取り入れようとする人と両方いるんじゃないかなって思ってるんですが。
ジョン:僕らは皆それぞれだからねえ…もし4人が各自でアルバムを一枚ずつ作るとしたら、全く違った物になるだろうね。
ロジャー:ブライアンだったらバリバリのヘビメタ調で作りそうだな。でもクイーンのアルバムは、皆がお互いに影響を与え合って出来るんだ。
――ロジャーとジョンは、例えば今流行っている新しい物、デュラン・デュランとかカルチャークラブとか、そういうものをお聴きになりますか?
ロジャー:う〜ん、聴かない(笑)でも、カルチャークラブには面白い歌がいくつかあるな。とてもよい声だし、キャッチーなコマーシャルソングだ。デュラン・デュランは、ベースプレイヤーに一度だけ会ったことがあるんだけど、とても良い奴だった。でも実をいうと彼らの音楽は好きじゃないんだ。個人的には、シンプル・マインズやU2、ビッグ・カントリーなんかがいいね。ジョンは違うと思うけど。
ジョン:僕もボーイ・ジョージの声は大好きだよ。すごくいいよね。デュラン・デュランは…初期の頃がよかったなあ。
――その他に何か新しいバンドで好きなものとかは?
ジョン:ないなあ…僕は少しずついろいろ聴く方だから。
――じゃあ、いつもいろんなものを聴いているのね。新しい物とかヒットしてるものとかはちゃんと知っている。
ロジャー:そう思ってるよ。
ジョン:僕ら2人はね。
ロジャー:僕らは何も、世間に目を向けていないわけじゃないよ(笑)
――たとえば新人バンドをプロデュースしたいとか、そういうことは考えたことがありますか?
ジョン:ブライアンは去年プロデュースやってたよ。ヘビーメタル関係のね。僕は…考えたことない。新しいバンドの曲の面倒を見るなんて、エンジョイ出来る事とは思えないんだ。満足出来ない気がしてね…。
ロジャー:スペシャルな奴がいたら、やってもいいな。でもそういう奴等は先にレコード会社が見つけちゃってるからね(笑) でも本当にこれだと思える奴が来れば、時間を見つけてぜひやってみたいと思ってるよ。
――プロデュース以外で、例えば他のメンバー、クイーン以外のメンバーと何かアルバムを作りたいとか、あとソロLPの予定なんかはないんでしょうか。
ロジャー:この1年、「ワークス」と自分のソロにかかりっきりだったんだ。ソロ・アルバムは2ヵ月後くらいに出るよ。
――さし当たって他にソロ活動の予定はないんですね?
ロジャー:よしてくれよ〜(笑)
ジョン:終わったばかりなのにさ。
ロジャー:すごく疲れたんだから。
――じゃあ、あの…最後に、これをお聞きしたい。ここに女性歌手やスターの写真があるんですが、この中でどの子がいちばん魅力的だと思いますか?
ロジャー:わ〜、近づかなきゃ…。(移動している)
ジョン:Oh ディア〜、この中から一人かい?(やけに声がでかくなったジョン、近づきすぎ) ああ、これは同じ子のなんだね。…あ、この子会ったことあるよねロジャー!(薬師丸ひろ子を見つける)
ロジャー:確かに会ってる!
ジョン:「フラッシュ・ゴードン」のときだったよね。
(「薬師丸ひろ子って『フラッシュ・ゴードン』出てたっけ??」などと言ってるインタビュアーと通訳さん)
ロジャー:彼女カワイイよな。
ジョン:うん、確かに。
(「彼女はハワイで育ってるの…(早見優?)」 「彼女は今一番ビッグなの。セイコ・マツダよ」通訳さん説明を続ける)
ロジャー:ああ、彼女もいいねえ。(松田聖子を見て?)
(通「これも聖子ちゃんですか?」イ「いいえ、それは小泉今日子」)
ジョン:先に選べよロジャー。
ロジャー:なんだよ俺からかよー。
ジョン:一体、このエクササイズの目的は何?(笑)
(説明を受ける2人)
ジョン:ああ、他のバンドの連中も選んでるんだね。 君が先だよロジャー。
ロジャー:え〜っと、まずこの子。(通訳さんが「ヨシエ」と言ってたので、柏原芳恵ではないだろうか)…それから…この子。この2枚にするよ。
――1枚だけです。
ロジャー:え〜、1枚? ザンコクだよ!!(笑)
ジョン:1人だけを選ぶんだよ。
ロジャー:うーん、難しいな…(しばらく悩んだ後)じゃ、この子にする。 (薬師丸ひろ子を選んだらしい) 誰かこの子を選んだ奴いた?
――いませんね。
さて、ロジャーはひろ子ちゃんを選びました。ジョンはどうするでしょう。

ジョン:う〜〜ん…あ〜〜… (ずいぶん時間があったはずなのに悩むジョン。どうやらプロポーションや衣装も考慮に入れている模様。)
(「もうぼちぼち終わるからー」「かたづけちゃっていいのー?」ドタドタと人が入ってくるが、まだ悩んでいるジョン)
(答えを待たずしてテープ終了)

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