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フレディ・マーキュリーと私

(ジム・ハットン著)

(メンバーの印象)
ロジャーとフレディは古着の店をやっていたこともあり、完全なソウル・メイトだった。ふたりはよく一緒に座ってけらけら笑っていた。

ブライアンはとても頭が切れる人で、自分の音楽については細かいところまで気を配る。

でも僕が一番好きになったのはジョンだった。彼はバンドの中で一番物静かな男だった。――驚くほど控えめで、穏やかで、気取らない人だ。 クイーンがデビューした頃ビジネス面に一番関わっていたのが彼とフレディで、 ジョンはバンドの会計士としての役割も兼ねていた。それから彼らがどんどん売れるようになると、仕事の量もものすごく増えた。彼がよく言うギャグがある。 「僕はただのベースプレイヤーだから」

(1987年9月、イビザにて)
ジョンは前からフレディの脚にいくつかあざがあることに気づいていた。 ジョンは僕に直接、けれど慎重に、あのあざは何かと聞いた。 僕は別にたいしたことはないようなふりをして言いつくろった。 「日光のアレルギーらしい。あれはそばかすだよ」 この話はそれで終わった。どこか悪いのかとジョンに勘付かれないように、僕は 自分の気持ちを隠して平気な顔をしていた。

(葬儀のとき)
ブライアンは手を握り、僕に会えてよかったと、そしてフレディが死んでほんとに 悲しいと言った。

ロジャーも同じ言葉をかけてくれたけれど、彼は握手でなく僕を抱いてくれた。

さらに僕はジョンに葬儀で会えたことが嬉しくて、彼に感謝の気持ちを伝えた。 彼はフレディが世間から身を隠すようになってからは離れて見守っていたけれど、 こうして最後のお別れを言いに来てくれた。僕達は握手をしてそっと抱き合った。

(あとがきより)
遠慮深いジョンに僕はすごく共感を覚える。 「僕はただのベース・プレイヤーだ」という彼に。

この本の内容に関しては賛否両論だが、まだジョンについてあまり良くない印象を持っていた時に読んで、この記述で「ジョンって…そういう人やったんか〜」と非常に感動してしまったのを覚えている。特に痣のことを尋ねる場面。ジムなんかよりずっと前からフレディの生脚を目の当たりにして来たジョンが「日光のアレルギー」などという言葉で納得するわけないと思うのだが、そこで途切れた会話と、あえてジムに尋ねた行為にジョンの内面が垣間見られたような気がした。そして「ジョンが好き」と公言するジムに対する私の評価は実は結構高いのだ。


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