:: BACK ::

読売新聞84年「世界中の人々に愛を」

新作LP「ザ・ワークス」キャンペーンで来日

クリックすると記事全文

イギリスのロック・グループとして、日本でも長期間にわたって人気を保持してきたクイーンのロジャー・テイラーとジョン・ディーコンが、約2年ぶりに出した新作LP「ザ・ワークス」の宣伝のために来日した。

「新しいLPは、長いことクイーンの特色となり世界中で支持されてきた美しいメロディーと強力なリズムを、さらに精選した形で出した。クイーンここにあり、という感じのものが出来たと確信している」とロジャー(ドラムス)はいう。

「長くやっていると、どうしてもマンネリに陥りやすい。だから今回のLPはじっくり時間をかけ、4人のメンバー全員が納得できるものを完成した」と言うのはジョン(ベース)。

日本では、9年前に出た4枚目のLP「オペラ座の夜」が40万枚を超すヒットになり、以後のLPもすべて20万枚を超す人気。57年秋の来日公演では、西武球場に2万6千人の観客を集めた。

ロジャーは「初めての日本公演で羽田空港に着いた時のファンの熱狂ぶりは今も忘れられない」と言い、ジョンも「イギリスの次にクイーンを認めてくれたのは日本の人たち。その次がアメリカなんだから、日本のファンのことは片時も忘れない」。

11年間メンバー不動

移り変わりの激しいロック界で、クイーンの人気持続は驚異的だが、ジョンは「11年前のレコード・デビュー以来、4人のメンバーが不動ということが一番大きな要素だと思う。素晴らしい音楽で世界中の人々に愛を、という基本姿勢で完全に一致している4人だから、個人のわがままよりグループを優先してきた。同志的結合が強いんだ」と胸を張る。(☆くすぐったくなるようなピュアな発言をしながらアフロで胸を張っているのかと思うと大変微笑ましい)

「聴く人の心に訴えよ」

最近のイギリスの音楽界については、ジョンは手厳しい。「音楽が若者たちのファッションの一部になってしまった。ファッションは一過性のもの。だから消長が早く、前のレコードが20万枚のヒットでも次のは1万枚も売れずに解散というケースが多い。それに他人と違った所を目立たせようと、新奇なものを追い求める若いミュージシャンが多すぎる。もっと聴く人の心の奥深い所に訴え、いつまでも愛されるような美しい音楽を作るべきなのに(☆今日はどないなっとんねんディーコンさん)

2人とも「若い時に僕たちは苦労したからネ。2枚目のLPでヨーロッパ、3枚目で日本と、早い時期に外国公演して、その国の聴衆の反応を次のLP製作に生かして行った。ドン・キホーテと言われたこともある。でもイギリスだけではなく、世界中で愛されるはずだという自信を持っていた」と述懐する。

最後に「10月ごろコンサートでまた日本へ来る。前回の野球場でのコンサートは、聴衆と離れ過ぎるという意見が多かったそうなので、今度は屋内でやるつもりだ。日本のファンのために、最高の演奏でこたえることを約束する」と2人は結んだ。


同時期の雑誌インタビューなんかだと喋りはロジャーに任せてにこやかにアフロを揺らしているだけだったくせに、新聞記事となると俄然張り切った模様である。…だがもしかすると「ロジャー」と「ジョン」、名前が逆なのかもしれない。


:: BACK ::