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バンドの屋台骨を支えるベーシスト、そして「ベスト・フレンド」、「地獄へ道づれ」などのヒット曲の作者であるジョン・ディーコン。新作『カインド・オブ・マジック』を中心に、15周年を迎えたクイーンの現在、過去、未来を語ってもらった。
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――ライブ・エイドに出演したのがきっかけで、しばしの休業宣言を急きょ中断して活動を再開することになったと聞きましたが?
ジョン:去年はロック・イン・リオ、オーストラリア、ニュージーランド、日本でのツアーが終わり次第、全員がしばらくの間休暇をとることになってたんだ。ライブ・エイドを除いてね。ところがホリディ先にフレディから電話がかかってきて、彼の「やる気」が僕にも伝わってきてね、それでスタジオに入って「ワン・ビジョン」を完成することになった。実のところフレディから電話がかかってきた時は、ホリディを中止しなきゃならなかったんで、あまり嬉しくなかったんだけど(笑)
☆「ワン・ビジョン」の最中にもどこかへ出かけていたらしいが。
――ライブ・エイドに出演した感想は?
ジョン:ライブ・エイドは僕らに良い結果をもたらしたと思う。ライブ・エイドで演奏することで、いまだにクイーンがグループとして人々に多くの事を与えられる可能性があることに気づいた。何しろ長年グループをやってきて、同じ事ばかりを繰り返しやるのにうんざりしていたから。
――「ワン・ビジョン」をレコーディングした後すぐにニュー・アルバムの製作にとりかかったわけですか?
ジョン:スタジオに戻ったのは、ほぼ直後といっていいだろうね。今までフレディはベルリンに住んでいたんだけど、もうかなり前にロンドンに買った家にやっと住む気になってね。そのせいでメンバー4人の団結力も一層、高まったんだ。
☆フレディが住んでいたのはベルリンじゃなくてミュンヘン? ロンドンに帰って来たのがよほど嬉しかったので間違えたのかも(爆)
――ニュー・アルバムが映画"Highlander"のサウンド・トラックになったいきさつは?
ジョン:いや、"Highlander"のサウンド・トラックというよりも、クイーンのニュー・アルバムといった方が良い内容なんだ。ラッセル・マルケイに依頼されて、初めは映画用に2、3曲レコーディングしてみては、というくらいにしか考えていなかった。それプラス映画からとった効果音とかオーケストラ・シーンを入れてアルバムにする、というのが初めのアイデアだった。ところが最後に出来上がったのは、全曲すべてが映画に挿入されている曲が3曲、曲の一部だけが映画に挿入されている曲が3曲、それから僕とフレディで2曲新曲を書いて、「ワン・ビジョン」を入れて、という内容になった。だからサウンド・トラックというより正式のクイーンのアルバムといった感じになってるよ。
――このアルバムが完成するまでずいぶん時間がかかったようですね。
ジョン:永久に続く、という感じがしたね。本当に長い時間かかった。冬中を通してロンドンのスタジオに毎日通ってた。重労働だった。きらびやかなショウ・ビジネスとはほど遠い世界だよ。僕らのやり方って、毎日アイデアをしぼり、職人のように技を磨いて、少しずつ完成へと向かっていくってやり方だから。
――クイーンといえば、レコード・デビュー以来ずっと高度なスタジオ技術を駆使したパーフェクトなサウンドを保ってきたわけですが、長い時間スタジオに入っていると機械と格闘するのが嫌になって反動で基本に戻ろうと感じるようなことがありませんか?
ジョン:もちろんあるよ。時にはレコーディングの途中で「曲を書いてそれを演奏するだけでいいじゃないか!」と感じることもある。曲が思うように出来上がらないとスタジオの中にいるのもうんざりしてね。しかし場合によっては前もって全く準備せず、曲のほとんどをスタジオの中で書き上げるなんてこともある。かなり時間のかかる方法だけど、アイデアのない時は自分自身を曲を書き上げなければいけない位置に無理矢理押し込む事も必要だしね。(☆すごく分かる、これ)「基本に戻る」という点では、ツアーがその欲求を満たしてくれる。ツアーではステージに上がって演奏するだけだし、僕ら4人とも心から楽しめるんだ。スタジオ・テクニックとかマルチトラックとか考える必要もないからね。僕ら、ライブじゃ一切テープを使わずに、僕ら4人の力だけでプレイするんだ。ライブならではの熱気を大切にしたいからね。
――結成15年目にあたるクイーンですが、15年の感想は。
ジョン:思えば恐ろしいね。
――恐ろしいというと?
ジョン:僕らのこなしてきたコンサートの数、レコーディングの数、ツアーの数を考えるだけで疲れちゃうよ(笑)。大変だったけどその報酬も大きかったな。
☆数字のことがまず頭に浮かぶところがさすが(?)だ。
――世界的な成功を手にした後、いったん夢を実現するとそれから次は何をしていいかわからなくなる、といったようなことはありませんでしたか? 「これからどうやって続けよう? 次は何をしよう?」といった悩みが出て来るのでは?
ジョン:そういった疑問は確かに何度も自分自身に問い掛けてきたよ。でもグループを止めることはできなかった。音楽は僕の人生だし、19歳の頃からずっとこんな生活を続けてきたんだから。
☆かなり痛いところを衝かれた質問だと思うのだが、彼なりに精一杯に答えているようだ。「音楽は僕の人生」という言葉をジョンから聞けるとは思っていなかった。(フレディはよく言ってるが)
――解散して他のグループをやろうと思ったことは?
ジョン:考えなかったね。個人的にゼロに戻って最初からやり直すというのはしんどい(笑)。(☆いかにも彼らしい答えだ(笑))それに僕ら4人とも今でもたくさんの事を人々に提供できると感じているんだ。
短いインタビューだが、時期的に一番気になる頃なので興味深かった。フレディの名前しか出てないし(^^;)