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Metamorphosed Hamlet (前編)

〜やめるか続けるか、それが問題だ〜

Written by ぼーいんぐ819さん

登場人物;

ローゼンクランツ=john
ギルデンスターン=roger

オフィーリア=freddie

ハムレット=brian
新デンマーク王=beach

ポロウニアス=mac

(*登場予定)
道化1=mami
道化2=boeing
 *お断り・・・このお話の中でjohn演じるローゼンクランツは、登場人物・関係人物の名前を1度たりともまともに呼べておりません。自分の名前すらちゃんと覚えてないんですよ。 そこンところを、ど〜かお忘れなく…。

一幕.総てものごとは端的にあれ

宮殿に到着したローゼンクランツとギルデンスターンを待ち構えていた新デンマーク王は、 最近のハムレットの様子に異常があることをかつて親しかった学友に伝え、一緒に遊びながら さり気なくハムレットの様子を探り出して報告するように命令した。 王令に忠実で、何事にも要領良く立ち回ろうとしながらも、ギルデンスターンは何時の間にかややこしい問題に巻き込まれては要らん苦労をするタチだった。早速、任務に取り掛ろうとするのだが、 何故自分たちが呼ばれたのか未だ納得の行かないローゼンクランツは、スキあらばそこから脱走しようと密かに企んでいた。 面倒なことは大嫌いで、ワケのわからない事態は避けて通りたいというのがローゼンクランツの本質らしい。ギルデンスターンのようにいちいち情に流されていては、厄介な事から逃がれ切れないからなのか。

ギルデンスターン:「デンマーク王に召されてやっては来たが、さて、ローゼンクランツ、新王と王妃から聞きしハムレットの様子、そなたはどう考える?」
ローゼンクランツ:「………………………」
ギルデンスターン:「実父なる先王没後を考慮に入れても、あのハムレットが、常軌を逸した振舞いに身を窶すなどよほどの事があったと考えて間違いなかろうな、ローゼンクランツ」
ローゼンクランツ:「………………」
ギルデンスターン:「ローゼンクランツ?」
ローゼンクランツ:「………」
ギルデンスターン:「よぉ、ローゼンクランツ、さっきから何を黙りこくっているんだ?」
ローゼンクランツ:「…僕達の名前は長過ぎる」
ギルデンスターン:「おいおい、俺達はそういう名前なんだからしかたないだろう」
ローゼンクランツ:「ふうん…キミは疑問の余地もなく納得してるんだな。僕は気に入らないね」
ギルデンスターン:「あ?気に入らんだと…?」
ローゼンクランツ:「うん。何事も長ければいいってもんじゃないだろ?」
ギルデンスターン:「また始まったか、お前の悪い癖。なんでもかんでも簡略化・合理化したがるんだよな」
ローゼンクランツ:「ついでに言うが、ここだけの話、僕は実はハムが苦手だ」
ギルデンスターン:「お前、この期に及んで何を言い出すんだ!?おまけに、ハムレットくらいの長さの名前すらも覚えられないのか」
ローゼンクランツ:「だって、ヤツはいつだってアレとコレのどっちがいいか決められん。苛々するんだ。昔から僕は不得手なんだよ、ハッキリしないヤツが。一緒に遊ぶにしても、ヤツはゲームに負けたりからかわれたりすれば真っ青になってマジで怒り狂うだろ?仕事でもなければ付き合いたくないね。名前もゴムで充分だ」
ギルデンスターン:「…お前なァ、ハムレットから悲劇的な苦悩と混迷の文字を取ったらただのマザコンだろうがよ」
ローゼンクランツ:「ただのマザコンなんかじゃないよ!」
ギルデンスターン:「何だよ、舌の根も乾かないうちにもう擁護する気か?」
ローゼンクランツ:「ただの…ではない、と言ってるんだ」
ギルデンスターン:「いったい何が言いたんだよお前は?」
ローゼンクランツ:「正しく言うとだな、ラムはマザコンでしかもナルシストだ。おまけに話はクドくてしつこい」
ギルデンスターン:「…あのな、すまんが自覚してくれないか。俺達は悲劇の登場人物で、しかも 立派な脇役だ。原作ではろくな台詞も貰えないほどのな。主役のハムレットをこき下ろしたところで、誰も感情移入はしてくれやしないぜ。原作者のシェイクスピアだって俺達のキャラクターに付いてはまともに書いちゃないんだからな。俺達は素性もよくわからんような【ご学友】ってだけなのさ」
ローゼンクランツ:「なら好都合じゃないか」
ギルデンスターン:「なんでだよ?」
ローゼンクランツ:「僕達についての説明がないなら、この際、好きなようにやれるだろ?」
ギルデンスターン:「そんな勝手が許されると思うのか?デンマーク王直々のお達しなんだぞ!!」
ローゼンクランツ:「固いこと言うなよ、眉間に皺が寄ってるぞ」
ギルデンスターン:「えぇい、うるさいわっ!お前は少し頭を冷やせ。俺がまずハムレットの様子を見てくるから、そこで待ってろ!」

二幕.出会いし者は、芳しき薔薇

ローゼンクランツとギルデンスターンに与えられた寝室にひとり残されたローゼンクランツは、 部屋に用意されていた木の実を食べていたがすぐに飽き、やむを得ずギルデンスターンを捜しに 出掛け、宮殿をさまよう羽目に遭った。 迷路のような宮殿で困り果てていたローゼンクランツに、美しいオフィーリアが声を掛ける。

オフィーリア:「どなたかをお捜しで?」
ローゼンクランツ:「うん。一緒に来たギルド…?ギルディ……?えーと、なんだっけな、忘れちゃったけど…とにかく長い名前の相棒を捜してるんだ。でも僕はどうやら迷ったらしいね」
オフィーリア:「無理もありません。この宮殿は別名【奇行師どもの舘】と言って、変な人しか集まらないから、仕掛け部屋が多いんです。1日に何度も宮殿の様子が変ってしまって、運の悪い訪問人は 生きてここから出られない…とも噂されているんです」
ローゼンクランツ:「それじゃあまるで【宿屋・西海岸】の世界じゃないか」
オフィーリア:「…"ホテル・カリフォルニア"のことでしょうか。残念ながらこの時代のアメリカで イーグルスはまだ影もカタチもありませんわ」
ローゼンクランツ:「あ…そうだっけね、ごめんごめん。そうか、凄いところなんだねここは」
オフィーリア:「ええ。ところで貴方様のお名前は…?」
ローゼンクランツ:「えぇとね、確かローゼン……なんとか、って言うらしい」
オフィーリア:「ローゼンナントカ様、と仰るのですか?」
ローゼンクランツ:「あ、いいや、そうじゃなくて、ローゼン何某…だったはずなんだけど、生憎相棒がいなくなってしまったんでわからなくなった。あまりにも長すぎるから、覚えてないんだ」
オフィーリア:「面白いお方ですわね。でも貴方様はどこか高貴な美しさが漂っていて、私の好みの眼差しが悩ましゅうございますわ。私の名はオフィーリアと申します。お近づきになれて光栄ですわ」
ローゼンクランツ:「そうか、その名前なら短くてすぐに覚えられる。僕の名は…その、ローゼン何某だけど、長くて鬱陶しいから適当に呼んでくれて構わないよ。ところでキミは何者なんだい?」
オフィーリア:「新デンマーク王に遣える内大臣・ポロウニアスの娘でございます、ローズ様」
ローゼンクランツ:「ローブ様…?」
オフィーリア:「もしお気に障らぬのなら、ローズ様とお呼びさせて戴くことをお許しください。美しい貴方様を'名前の知れぬローゼンナニガシ様'とお呼びしたくはありませんゆえ」
ローゼンクランツ:「ははははは、呼び名は何でもいいけど、照れるなぁ」
オフィーリア:「まぁ、なんと素敵な笑顔…そしてなんと魅力的な前歯の隙間でしょう…。 ローズ様はわが父君が私の為に作らせた黄色い薔薇そのもののように麗しゅうございます」
ローゼンクランツ:「キミの言葉は決して悪い気がしないけどさ、恥ずかしいからもういいよ。ねぇ、キミの父君、え〜と、なんだっけ、ポロシャツ…?いや、違うな、アクエリアスだっけか?」
オフィーリア:「ポロウニアスでございます」
ローゼンクランツ:「あ、そうそう、それだ。彼はロムの様子について何か知ってるのかい?」
オフィーリア:「ロムというのはハムレット様のことですね? はい。父君なるポロウニアスは、新デンマーク王に遣える身。後の王位継承者でもあられるハムレット様のご様子には、新デンマーク王共々心を砕いておられます。新デンマーク王は亡くなられた旧王の実の弟君…。しかもハムレット様の実の母君を娶って王位に就かれた方なのです。世が世なら、旧王の没後はハムレット様が新デンマーク王に即位されるべき場面でしたのに」
ローゼンクランツ:「…う〜ん……ごめん!僕は歴史に疎いし、面倒な政治的背景も大の苦手でね。 ノンポリだし新しい物が大好きなミーハーなんだ。要点だけまとめて、わかり易く説明してくれないかな、オブラ」
オフィーリア:「オフィーリア、でございます」
ローゼンクランツ:「そうそう、それ」
オフィーリア:「…ではローズ様、仰るとおり、私の問題点だけをまとめてお話させて戴きます。私は己の身分が如何なるものか重々承知しているつもりではありますが、清廉潔白なる貴方様に恥を偲んで告白したいことがございます…」
ローゼンクランツ:「僕は見た目ほど清潔な男じゃないよ。どうでもいいけど、早く言ってくれないか」
オフィーリア:「見た目だけで充分でございます。…とにかく私は今、ハムレット様から執拗に口説かれ、貞操の危機を迎えております」
ローゼンクランツ:「昔からしつこいからなぁガムは」
オフィーリア:「どう申し上げたらよろしいのやら、うまく言えないのがもどかしゅうございますが…私は実はハムレット様がどうにも苦手で…」
ローゼンクランツ:「あれ、キミもなの?いやぁ、奇遇だね。実は僕もジムが苦手なんだよ」
オフィーリア:「ああ、神様。なんというご加護を…。私はどうしてもハムレット様を愛することができないわが身を呪い、苦しみにうちひしがれておりました。幾度となくハムレット様から戴いた長い長い恋文も、何度読んでも不思議な美辞麗句の繰り返しで理解できないものでした。この恋のゆくえ、計り知れない謎に満ちて何やら恐ろしゅうございます。けれど、同じ気持ちをお持ちのローズ様にお会いできたこの運命を、私は全身全霊で喜ばしく思います。苦しみと隣り合せた喜び、と呼んでしまいたい…」
ローゼンクランツ:「喜びと苦しみとは紙一重なものだろ?レムのキミへの想いは多分、ミスファイヤーに終わるよ。ま、たまには雨も降る…ってことだね」
オフィーリア:「ところで、ハムレット様は今も昔も王妃でおられる母君の、旧王に対する酷い所業をご存知ありません…」
ローゼンクランツ:「ヤツは昔から山登りばかりしてた変りモンだから大概のことには疎いし鈍いけど、王妃はいったい何をしたんだい?」
オフィーリア:「貴方様を心より信頼して申し上げますが、王妃は新デンマーク王と共謀して……」
ギルデンスターン:「おーい、ローゼンクランツ!大変なことがわかったぞーっ!!」

三幕.金獅子と薔薇との間(はざま)で

ギルデンスターンが眉間に皺を寄せたまま蒼ざめた顔つきでローゼンクランツに向って走って来る。ローゼンクランツの手を握り締め、耳に息が掛かるほど顔を近づけていたオフィーリアは我に返り 慌ててその手を離した。ギルデンスターンの青く美しい目と目が合った途端、ローゼンクランツを突き飛ばし、ギルデンスターンの傍に寄って、細身の肢体とつややかな金髪をうっとりと見つめた。

ローゼンクランツ:「おう、フラッシュ、どうしたんだい、そんなに慌てて」
ギルデンスターン:「あン…?誰がフラッシュだよ?」
ローゼンクランツ:「今しがたこの女性が僕をボーズと呼んでくれたんだ。ボーズの相棒はフラッシュと決まってるだろ?」
ギルデンスターン:「ローゼンクランツ…それはボーズではない、ローズだ。ローズの相方はフラッシュではなくスラッシュだろうが。…ええい、お前には時代考証というものも節操すらもないのか?」
ローゼンクランツ:「そんなもんがあったら、この話はちっとも面白くないだろ。決めた。僕はキミを ドラッシュと呼ぶからな。ギルゼンナニガシなんて、やってられるか!」
ギルデンスターン:「あぁ、もお勝手にしろ。顔では笑ってるくせに言い出したら退かないんだからな、お前は…。ところでこの美しい女性はどなたかな?」
ローゼンクランツ:「ええと、タムに迫られて困ってる新王の内大臣・ポマードの娘でアビーニアだったっけ?」
オフィーリア:「謹んで申し上げます、ポロウニアスの娘・オフィーリアにございます」
ローゼンクランツ:「…らしい」
ギルデンスターン:「これはこれはオフィーリア、我が友がとんだ失礼を…。彼・ローゼンクランツは 人の名前をまともに覚えない才に長け、こと長い名前を覚える気力が決定的に欠けた男でして…。 しかも興味のない話になれば自動的に耳を塞ぐワザをも兼ね備えているのです」
オフィーリア:「そのようで。けれど、とてもお優しい方でございます。私のつまらぬ愚痴にじっと耳を傾けてくださいました」
ギルデンスターン:「もしやそなたもハムレットが苦手だと…?」
オフィーリア:「あぁ、なぜお分かりに…?」
ギルデンスターン:「こんなヤツと長年付き合っていれば、行間すらも読めるというものです」
ローゼンクランツ:「エムとウマの合うヤツなんているのかなぁ」
ギルデンスターン:「ハムレットのことならせめてハム、と統一して呼んでくれないか…。ま、確かに鬱陶しい性格だけど…俺はあんまり気にならないな。キライじゃないし」
ローゼンクランツ:「ふぅん…物好きだな」
オフィーリア:「あのぅ…ローズ様、こちらの方は?」
ローゼンクランツ:「ああ、ごめん。ちゃんと紹介してなかったね。一緒に新王から呼ばれて来た腐れ縁の友人でね、頭蓋骨が怖くて歯医者になりそこなったボケだよ」
ギルデンスターン:「うっせぇな、お前だって電機屋になりそこなったタコだろうがっ!」
オフィーリア:「あ、あのぅ…よろしければ正しいお名前を…」
ギルデンスターン:「私はハムレットの学友で、この度かのローゼンクランツと共に新デンマーク王から召されて来たギルデンスターンと申します」
オフィーリア:「まぁ、よくよく貴方様もローズ様とはまた違った美しさを備えられた、華やかな方ですのね」
ギルデンスターン:「いやいや、なんのなんの」
ローゼンクランツ:「気をつけた方がいいよ、アビリア。こいつすっげぇ遊び人だから」
オフィーリア:「オフィーリア、にございます、ローズ様。どんな方であれ、私は美しいものが大好きですわ」
ギルデンスターン:「私も同じですよ、美しいオフィーリア」
オフィーリア:「あぁ、私はなんという幸せ者…。若く凛々しく美しいおふた方に出逢えて、今夜は眠れそうもありませんわ」
ローゼンクランツ:「でもさ、キミにはトムが付き纏っているんだろ、ソフィール」
オフィーリア:「あぁ…それを忘れておりましたわ」
ギルデンスターン:「ローゼンクランツ、この方の名はオフィーリアだと言っとるだろうがっ!」
ローゼンクランツ:「呼び名なんてどうだっていいじゃないか。ここではキミと僕と彼女の区別が付くなら問題がないんだし。そうだろ、ズラッシュ?」
ギルデンスターン:「俺まで全く別のキャラクターにするのはやめてくれ!」
ローゼンクランツ:「なんならイキルとマイドでも構わんが?キミはどっちがいい?イキルか?マイドか?」
ギルデンスターン:「…それを言うならジキルとハイドだ。しかも人格かい離した同一人物の話だ! とにかく、話をもとに戻そう。俺は今しがたハムレットに会った。そして恐るべき事実を知らされた。ハムレットは乱心を装い、狂気を演じているが、決して純度の高いバカになり下がった訳ではなかったのだ…!!」
ローゼンクランツ:「…能書きはもういい。早く結論を言え」

四幕.牢獄の王子

ギルデンスターンの回想;
ポロウニアスとすれ違いにハムレットの部屋へ入ったギルデンスターンは、かつての親友・ハムレットから得意の美辞麗句が雨あられのように降り注ぐ大歓迎を受けたが、何故この時期にタイミング良く現れたかを執拗に問い質すハムレットに嘘を吐き通せず、新デンマーク王からの召集で来たことを告げてしまう。その後2人は、ハムレットが招いた役者の一行の到着を知らせにポロウニアスが現れるまで、内々の話を続けていた。

ギルデンスターン:「…さすがにハムレットのあのしつこさには参ったが、話を聞けば聞くほど何故そこまで疑心暗鬼になるのか、理解できたぜ」
ローゼンクランツ:「あれ…?もう新王夫婦の陰謀がわかったのか?おかしいな、その場面でナムはまだ決定的なことは言わない筈だろ?」
ギルデンスターン:「お前はいちいちうるさいなあ。言ったんだよ!それにな、本来ならお前が喋るべき台詞も俺が全部言わなきゃならなかったんだぜ。少しは真面目にやってくれよ!」
ローゼンクランツ:「お前が1人で勝手にバムんところへ行ったんだろうが」
ギルデンスターン:「いいか、ハムレットの父君である旧王はな、ヤツの叔父だった筈の新王の妻になったから叔母でもあるハムレットの実の母君と、叔父だった筈なのに急にハムレットの母君と結婚しちまったもんだからいきなり義理の父君に代った新王の企みで、殺されてたんだぜ!だからハムレットは狂気を演じて新王夫婦を欺き、復讐する手立てを模索してるのさ」
オフィーリア:「ではハムレット様は、母君と新王の残忍極まりない所業を、既にご存知だったのですね!?」
ギルデンスターン:「ええ、先王の亡霊が現れて、全てを彼に知らせたとのこと」
ローゼンクランツ:「……おいブラッシュ、気は確かか?訳のわかんないこと言うな」
ギルデンスターン:「あっ?どこがだよ?」
ローゼンクランツ:「なんで母親が叔母になって、叔父が義理の父親なんだよ?」
ギルデンスターン:「終わった話を蒸し返すなよ。仕方ないだろう、事実、別の側面から見た関係論で辿るとそうなるんだから」
ローゼンクランツ:「関係論なんて無意味だよ。僕は気に入らないね。ことを複雑にするのはいつだって暇人の空虚なアタマなんだ。すっきりさせようじゃないか。デムの母親は単にニンフォマニアで、新王は権力主義だ。見事に利害関係が一致しただけさ。おまけにこの2人にとってリムは旧王と同じなんだ。邪魔なだけなんだよ。だから僕達が呼び付けられて、探りを入れさせられてるんじゃないか、馬鹿馬鹿しい」
ギルデンスターン:「あ?邪魔なだけだと…?ならば旧王と一緒に殺せば良かったんじゃないのか。どうしてヤツだけ生かされてるんだ?」
ローゼンクランツ:「…頭痛がして来た。キミは何故ヤツが生かされているのかもわからないのか?」
ギルデンスターン:「お前の言い分を聞くとさっぱり分からなくなった。言ってみろよ、何で邪魔なハムレットをわざわざ生かしておくんだ!?」
オフィーリア:「そ、それは…ハムレット様がこの戯曲の、少なくとも原作では主役だからですわ」
ローゼンクランツ:「ご名答!冴えてるね、オーフレット」
オフィーリア:「しつこいようではありますが…オフィーリアにございます」
ギルデンスターン:「そんな理由で、ヤツはあんなに苦しまなくてはならないのか!?」
ローゼンクランツ:「そうさ、だってこれは悲劇なんだろ?…しかしヤムのヤツ、よくそんなことまで早々とキミに話したもんだな」
ギルデンスターン:「簡単に白状したぜ」
ローゼンクランツ:「おい、いったい何をした?」
ギルデンスターン:「いや、俺は別に…」
ローゼンクランツ:「正直に吐けよ、どうやってあの頑固なヤツからそこまで詳しい話を聞き出したんだ?」
ギルデンスターン:「どうってことないさ。ちょっとばかり腕を振り回しただけだ」
ローゼンクランツ:「…ちからワザで捩じ伏せたのか?呆れた野蛮人だな」
ギルデンスターン:「理屈や説得で真っ向から闘ってもハムレットに適うわけないだろうが。相手は哲学を盾に延々喋るんだぜ!何しろ言葉、言葉、言葉…だからな。そんなヤツには口で言うより殴った方が早い」
ローゼンクランツ:「あ〜あ、僕は知らないよ。キミの尻拭いなんてごめんだからな」
ギルデンスターン:「ほ〜お、そう来るか。じゃあ俺ももうこれ以上お前のフォローなんかしないからな。この先はお前1人で新王に経過を告げに行くといい。その場で首を跳ねられても俺の知ったことじゃないしな」
ローゼンクランツ:「おい、それはないだろう!?わかった、悪かったよ。そんなつもりじゃなかったんだ」

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